COLUMN — THE THIRD ROLE
推進役とは、
推進役とは、会社で決まったことや、やりたいと思っていることを、実行されるところまで前に進める役のことです。会社がどの方向へ進むかを決めるのはリーダーで、推進役は、渡された範囲の中で何をどの順番で進めるかを決めて、動かします。肩書きや部署の名前ではありません。会社の中の役の名前です。社内の誰かが担うこともあれば、外から入ることもあります。私がやっているNo.3代行は、その担い方のひとつで、社長と2番手がいる会社に3番目として外から入ります。この記事では、DXに限らない推進役そのものについて、リーダーや2番手と何が違うのか、なぜ中小企業で空席になるのか、置く前に知っておいてほしいことを書きます。私の体験として書いたところは、外から入るNo.3としての話です。うまくいかなかったことや、外から入る役の限界も入れました。
目次
01推進役とは、決断を「どう進めるか」を引き受ける役です
もう少し具体的に書きます。会社を前に進めようとすると、動かすものは決まってきます。人、お金、仕組み。この3つです。そして、この3つは動かすのがとても難しい。採用活動、営業活動、業務の効率化、いろんな人に会うこと。緊急じゃないけれど、重要なこと。推進役は、ここを進める役です。
私がやっている進め方は2つあります。ひとつは、社長が今やっていることを効率化する。あるいは、私が代わりにやる。そうしてできたスキマで、社長に未来の仕事をしてもらうんです。もうひとつは、逆のパターン。その未来の仕事のほうを、私が代わりに進めていく形です。
社長と2番手のあいだに入る、と言うと、仲を取り持つ役を想像されるかもしれません。でも、クッション役だけだと仕事にならないんです。なので、ナンバー1とナンバー2がやりづらいことを引き受けます。現場に足を運んだり、取引先との調整をしたり、ホームページ制作会社とのやり取りを巻き取ったり、採用面談の一次対応をしたり、業務システムを整えたり、AI導入を進めたり。動き方はわりと幅広いです。
幅広いので、どうしても何でも屋に見えます。何を頼んでいいのか分からない、と思われる。その気持ち、私はめちゃくちゃ分かるんです。自分が発注側だったら同じことを考えます。ただ、人の採用も、業務の仕組み化も、営業も、AIの導入も、バラバラに見えるものを一人が横断して見ているからこそ出せる答えが、確実にあります。
なお、DXに限った推進役の話、つまりシステムの運用を見る人と推進役がどう違うのか、その席をどう埋めるのかは、DXの推進担当がいない会社は、何から決めればいいのかに書きました。この記事ではDXに限らない話をします。
02リーダー、2番手、推進役。3つの役は何が違うか
2020年、独立した年に、経営者の友人に自分の仕事を説明したことがあります。そのとき書いた文章を、原文のまま載せます。
まず、会社(チーム)には代表者がいる。
その人はリーダーシップを持ちチームがどの方向へ進むかを決めていく。
次に、2番手(共感者や右腕と呼ばれる人)がいる。
この人の存在はとても大きく、リーダーをサポートする。
リーダーが不得意なことを補完するという意味でも絶対的な存在。
そして、3番手(チームのフォロワー)が必要不可欠。
あまり目立つ存在ではないけれど、リーダーと2番手を外側から見る。
リーダー×2番手、リーダー×3番手、2番手×3番手、という3つの形をつくることもできる。
やはり常にリーダー×2番手だけではどこかで限界が来たり、上手くいかなくなったときの修正に苦労する。
こんな時に3番手の役割が重要となる。
この3番手が、この記事でいう推進役にあたります。
リーダーとの違い:何を決めるか
会社がどの方向へ進むかを決めるのは、リーダーです。チームでの決断は、最終的にはリーダーがしなければなりません。実際、私の仕事上、私がリーダーになって決めることはそこまで多くない。もちろんプロジェクトとしてリーダー的な役割をするときもあるのですが、大体はリーダーやリーダーを支えるNo.2がいて、私がいる構図だからです。
決断のときに私がやっているのは、俯瞰的な意見を交えつつ決断の背中を押すことです。私に意見を求めてくる時点で、リーダーは大体決断できているんですよ。あとはその決断のサポートと進め方を必要としている。だから、色々なことは言いません。そして決断のあとに必要なのは、決断に対する意見ではなく、決断をどういうふうに進めていくか、です。
なので、推進役は何も決めない、という話ではありません。渡された範囲の中で、何をどの順番で進めるかは推進役が決めます。会社の方向の決断は、リーダーに戻す。私はこの線で動いています。
2番手との違い:会社との距離
No.2じゃないのか、と聞かれることがあります。No.2は、だいたいの会社に、もういるんですよ。それに私は、No.2ほど深く会社に入れません。No.2はやっぱり、会社の中にいるべきだと思っています。社長のいつもの壁打ち相手ですから。
No.3は、少し違います。会社にどっぷり浸かるというより、まわりのことを知っている。市場を知っている。少し外側の意見を持っている。「ほかの会社では、こうなんですよ」「こういう事例がありますよ」。そんな話ができて、そのうえで実行に移していく。私の中のNo.3は、そういう立ち位置です。
断っておくと、これは外から入る立場の私の話です。社内の誰かが推進役を担うときに、同じ距離が取れるかどうかは、私の経験からは言い切れません。ただ、「リーダーと2番手を外側から見る」という位置は、社内の人でも持てるのではないかと思っています。
03社長と2番手だけの会社で、起きること
2番手がいるなら、それで足りるのではないか。そう思われるかもしれません。でも、1と2だけだと、派閥になりやすいんです。
社長が「あいつは仕事ができるし、俺のことをよく知ってる」と連れてくる。ところが一緒に働くと、仕事ではどうもかみ合わない。仕事の外ではいい関係なのに、仕事になるとうまくいかない。そこから社内の空気が悪くなって、ひどくなると「社長派か、専務派か」になる。社長の息子さんがNo.2、というパターンもよくあります。これも1と2が一直線につながっているだけです。
もうひとつあります。右腕の人の話は、右腕本人にはできません。ほかのスタッフにも、なかなか言えない。だから経営者は、それを頭の中に溜め込んでいます。
そこに3番目が入ると、1対1では言えないことも、その場にいない人の話なら壁打ちできます。誰かを仲間外れにするのとは違う。それぞれが、それぞれの話をできる関係です。この3人の形はNo.3代行とはに図を載せているので、ここでは繰り返しません。
私の場合、思い出すのは部活です。小学校では生徒会長。中学・高校・大学と、部活では部長でした。ただ、ゴリゴリに引っ張っていたわけじゃありません。立場は1。やっていたことは、2や3に近い。「俺についてこい」の力は、全然ないんです。部長のときは、副部長が2人いました。その3人で、チームが回っていた。1人で引っ張るより3人のほうがいい、という感覚はこのころからある気がします。
ただ、どの会社にも3番目が要る、とは思っていません。会社のパターンとして、ワントップで成り立っていることがあります。その場合、きっとNo.2やNo.3は必要ではないと思うし、実際にそこまで必要とされないだろうと思います。どちらが良いか悪いかという話ではありません。あくまでも、私が必要とされるだろう場所は、チームワークで会社を健全な状態で運営しようとしている経営者の会社、ということになります。
04なぜ中小企業では、この役が空席になるのか
「俺は総務だな」と言っている社長は、よくいます。本当に、エアコンのフィルターを取り替えていたりする。「社長、トイレが壊れました」と言われて、修理をしていたりもします。大企業なら、そういう役割の方がいるはずです。でも、そこまで大きくない会社だと、社長がやることになる。
それだけじゃありません。数字の調整があります。銀行まわりがあって、お金の相談もある。来客も、めちゃくちゃ多いですよね。営業活動はもちろんです。税理士さん、会計士さん、司法書士さん、社労士さん。そういう方々との打ち合わせも、たくさん入ってきます。従業員さんから見ると、フラフラしていて、忙しくなさそうに見えるかもしれません。でも日々やることが、とにかくいっぱいあるんです。外からはわかりにくいんですけどね。
そんな中でも、社長の頭の中には絵があります。自分の会社を、いい方向に進めていきたい。なのに、なかなか進められない。進めたいと思いながら、何年過ぎていますか。そういう社長は、けっこう多いんです。社長だけじゃなくて、幹部の方もそう。
この役が空席になるのは、ここだと私は思っています。大きい会社は部署ごとに役割が分かれています。そこまで大きくない会社だと、それも社長と2番手のところに来る。2人とも手がいっぱいなので、頭の中の絵を進めるところまで手が回らないんです。
ナンバー3代行という言葉は、私が勝手に作った名前です。社内に「ナンバー1とナンバー2はいるけど、間を埋める人がいない」と感じている方がいたら、その役割の名前として転がしてもらえたら嬉しいです。
逆に、中小企業だからできることもあります。中小企業だと、社長のすぐ横に立って数字も人も全部まとめて見られる。規模が大きくなると、その立ち位置が取りにくい。ナンバー3代行は、今は100人規模くらいまでの中小企業の経営者に振り切っています。
仕事がちゃんと回っている会社ほど止まりやすい、という話は中小企業が止まる4つの共通パターンに書きました。
05推進役を置く前に、知っておいてほしいこと
置き方は、社内の誰かが担うか、外から入れるかです。順序としては、社内に置けるなら、そのほうがうまくいきます。その手順は別の記事に書いたので、ここでは繰り返しません。席の埋め方は先ほどのDXの推進担当がいない会社は、何から決めればいいのか、任された本人の時間が社内調整に消えてしまうときはDX推進の時間が社内調整に消えるのは、異常ではありません、育てるか頼むか任せるかは中小企業の「経営参謀」の見つけ方、外部に頼む形の違いは社外CxO・顧問・コンサル・業務委託・No.3代行は、何が違うのかにあります。
ここから先は、外から入っている私の側の話です。
No.3代行を教える講座は、考えてやめました
実は以前、No.3代行を「教育カリキュラム化できないか」と考えた時期があります。No.3を育てる講座みたいなものを作って販売する、というイメージです。形としては悪くない。ただ、私の中でしっくり来なかったんですよ。「これ、自分がやりたいことか?」と自問したときに、答えがどうしてもイエスにならなかった。やる気があるだけの人に、教科書を渡してゼロから育てる、という絵が自分の中で成立しなかったんです。教えること自体が嫌いなわけではないです。でも、自分の手で一から育てるのは、私の望む形ではなかった。結局そのまま事業化しませんでした。
もうひとつ、このスキルを教育するのが、まず難しい。そして、スキルを身につけたらNo.3代行ができるかというと、一概にそうもいかない。じゃあ何で仕事をするのかと突き詰めていったら、もう完全に経験値なんですよね。
これは、No.3代行を仕事にする人を教える話です。会社の中で誰かに推進役を任せることを、否定する話ではありません。
外から入る役の限界と、気をつけていること
three.TのNo.3代行は、社長(No.1)、幹部や右腕(No.2)に次ぐ3番目の推進役として、外から社内に入る仕事です。私は今、11社でこの立場に入っています。アドバイスをして「はい運用完了」という関わり方は、あまり望んでいません。現場に行って、お客さまと直接話して、その人の夢や目的を聞いて、実現のために自分も動きたい。なんなら率先して、「社長、こっちですよ、一緒に行きましょう」と言ったり、「社長はそっちなんですね、わかりました、じゃあ私がカバーします」と言ったり。あくまで会社を前に進めるNo.3、というつもりでやっています。
ただ、外から入る役には限界があります。
ひとつは、私が抜けると止まることがある、という点です。私がクライアントの事業に入り込み、様々なツールや人的ネットワークを駆使してプロジェクトを進めると、私が関わらなくなった瞬間にプロジェクトが止まってしまうことがあります。でも、No.3代行の最終形態は、私がいなくなっても成り立つ状態をつくることです。他の人ができるようにしていく。正直、私がやったほうが早い場面はいくらでもあります。それでも、いなくても回る形にする。
ふたつめは、社長の代わりそのものにはなれないことです。社長が100%の力でやっていた仕事を、私が代わりにやりますと言ったところで、正直、私の手だと2割くらいの出来にしかならない。社長本人にはかなわないんです。2割というのは測った数字ではなく、私の感覚です。でも、そこにAIやノーコードのツールを噛ませると、その仕事が少ない労力で回せるようになる。効率化を意識してやっているのは、そのためです。
3つめは、成果を言い切れないことです。コンサルというと、すぐに結果を出せという圧が強い世界です。でも規模が大きいほど、自分が入ったからこの数字が伸びた、とは言い切れなくなります。長く関わって、今は上向いている会社があります。正直に言えば、それが私たちの結果なのかは分かりません。私たちがいなくても伸びたかもしれないし、逆にいなければ伸びなかったかもしれない。それは分からない。
支援はTALK(60分の無料相談)、DESIGN(何から手をつけるかを決める)、MOVE(一緒に実行する)、SYSTEMIZE(社内で回る形にする)の順で進みます。最後のSYSTEMIZEは、私がいなくなっても成り立つ状態にするための工程です。
うまくいかなかったこと
事業を始めてもうすぐ2年という頃に、振り返って書いたことがあります。ある仕事で、新事業の立ち上げを求められていました。あまり経験のないもので、なかなかにハードでした。結果は全体的にあまり良いものを生み出せなかったものの、縮小・統合することでコンパクトにし、これからはしっかりと運営していけるような兆しが見えてきました。私の仕事はここまでで、その先はスタッフの方々にお願いしました。
決めたことを、進める人はいますか。
three.TのNo.3代行は、社長と2番手に次ぐ3番目として外から入り、決まったことをどう進めるかを引き受けます。推進役が社内にいるのかどうか分からない、誰に任せればいいかが決まっていない。そういう段階でも構いません。まずは60分、いま止まっていることをお聞かせください。初回相談は無料です。
06よくある質問
推進役とは、何をする人ですか?
会社で決まったことや、やりたいと思っていることを、実行されるところまで前に進める人です。会社がどの方向へ進むかを決めるのはリーダーで、推進役は渡された範囲の中で、何をどの順番で進めるかを決めて動かします。動かすものは、人、お金、仕組みの3つです。肩書きではなく役の名前なので、社内の誰かがやることもあれば、外から入ることもあります。
推進役とリーダーは、何が違うのですか?
決める中身が違います。会社がどの方向へ進むかを決めるのは、リーダーです。推進役は、その決断をどういうふうに進めていくかを考えて、渡された範囲の中で順番を決めて動かします。私の場合、リーダーになって決めることはそこまで多くないんです。やっているのは、俯瞰的な意見を交えつつ決断の背中を押すことです。
右腕(No.2)がいれば、推進役は要らないのではないですか?
No.2がいても、3番目は別に要ると私は思っています。No.2は社長のいつもの壁打ち相手で、会社の中にいるべき人です。ただ、1と2だけだと派閥になりやすい。それに、右腕の人の話は右腕本人にはできません。なお、ワントップで成り立っている会社だと、No.2もNo.3も必要とされないことがあります。
推進役は、社内で育てられますか?
正直、私の経験からは言い切れません。私が書けるのは、No.3代行を教える講座を考えてやめたことと、この仕事は突き詰めると経験値だと思っていることまでです。社内に置けるならそのほうがうまくいく、という順序と手順は「DXの推進担当がいない会社は、何から決めればいいのか」に書いています。
推進役を外から入れるとき、気をつけることは何ですか?
外の人がいないと進まない形にしないことです。私がクライアントの事業に入り込んでプロジェクトを進めると、私が関わらなくなった瞬間にプロジェクトが止まってしまうことがあります。頼む前に、その人がいなくなっても成り立つ状態をゴールに置けるかを確かめてください。