COLUMN — EXTERNAL TALENT
経営を外に頼もうと調べ始めると、呼び方の違う選択肢が並びます。経営顧問、社外CxO、経営コンサルタント、業務委託。どれも「外部の人に手伝ってもらう」点は同じなのに、料金の考え方も関わり方も違います。選ぶ前にやることは、名前を覚えることではなく、それぞれが何に対して料金を払う形なのかを分けることです。three.Tは10社でNo.3(社長・幹部に次ぐ3番目の推進役)として社内に入っていますが、相談の入口で最も多いのが「どの形で頼めばいいのか分からない」という質問です。この記事では、5つの形態の定義、比較表、そして自社に合う形の決め方を整理します。どれが優れているという話ではありません。合う場面が違うだけです。
015つの呼び方が指しているもの
まず、それぞれの言葉が一般にどういう関わり方を指しているかを揃えます。ここが揃っていないと、比較そのものが噛み合いません。
経営顧問
定期的に経営者の相談に応じる立場です。月額で契約し、月1回程度の面談を持つ形がよく見られます。判断材料、業界の知識、人脈を提供する役で、実務は自社が担うのが基本です。税理士や中小企業診断士が顧問として入る場合も、この形に近くなります。
社外CxO(社外CFO・社外CTO・社外CMOなど)
特定の機能の責任者を、常勤ではない形で置くものです。財務なら社外CFO、技術なら社外CTO、マーケティングなら社外CMO。顧問との違いは、相談に応じるだけでなく、その領域の意思決定と社内のマネジメントに関わる点にあります。「週1日」「月8日」といった稼働の約束を伴うことが多い形です。
経営コンサルタント
課題を調査し、分析と提案をまとめて納品する形です。期間とテーマを区切ったプロジェクト契約が一般的で、何が納品されるかがはっきりしています。一方で、そこに書かれたことを実行するのは自社です。実行支援まで含む契約もありますが、その場合は範囲と期間を契約書で確認する必要があります。
業務委託
特定の業務を切り出して外部に任せる形です。経理、採用の実務、Webサイトの運用、経費精算の処理など。範囲が明確なぶん発注も管理もしやすく、費用も読みやすい。裏を返すと、範囲外のことは担当しません。
No.3代行
three.Tが使っている呼び方です。社長(No.1)、幹部(No.2)に次ぐ3番目の推進役として社内に入り、提案から実行、社内調整、社内で回る形にするところまでを担います。社外CxOと違うのは、財務や技術といった特定の機能に紐づかない点です。その会社でいま空いている役を引き受けるため、営業の窓口になることもあれば、システムの入れ替えを進めることも、採用の設計に入ることもあります。
この形を始めた経緯は単純です。代表のウエツは、前職を離れたあと旅行会社に入り、そこである程度の土台を作った時点で、勤務を半分に減らしてもらいました。役員として関わりながら、空いた分で別の会社の仕事をする。その次に製造業の会社に入ったとき、社長と幹部の下、3番目の位置に置いてもらった経験が元になっています。No.1とNo.2しかいない会社と、3番目がいる会社とでは、話の通り方が違いました。
名前で判断しないほうが確実
ここまでの区分は、一般に使われている意味を整理したものです。実際には、同じ「顧問」という言葉で月1回の相談だけを指す会社もあれば、週2日社内にいる形を指す会社もあります。社外CxOという言葉も、実質は月1回の助言という場合があります。確認すべきは名前ではなく、稼働がどれくらいか、どこまで決めていいのか、実務を自分で手を動かすのか、の3点です。この3つを聞けば、呼び方が何であれ実態が分かります。
02「何に対して払うか」で分けると、違いが見える
5つの形態は、料金が何に対して発生しているかで4つに分けられます。ここを分けておくと、相見積もりの比較もしやすくなります。
時間に対して払うのが、経営顧問と社外CxOです。月何回、週何日という稼働に対して料金が決まります。その時間の中で何をやるかは、状況に応じて変わります。
成果物に対して払うのが、経営コンサルタントです。調査報告、事業計画、業務フローの設計など、納品されるものが決まっています。
範囲に対して払うのが、業務委託です。この業務はやる、これはやらない、という線が最初に引かれます。
役割に対して払うのがNo.3代行です。特定の成果物でも特定の業務でもなく、推進役という役そのものを外から埋める形になります。
関与が深くても、決める人は変わらない
関与が深い形を選ぶと、意思決定まで外部に移るのではないかと心配されることがあります。ここは分けて考えたほうがいいところです。
three.Tが10社に関わってきた中で、ウエツ自身が決めたことはほとんどありません。「こちらの方向がいいのではないか」「こういう案もあります」と選択肢は増やし、意見も出します。ただ最終的に決めるのは、いつも経営者の方です。経営者が決めようとしていることに、よほどのことがない限りかぶせません。理由は2つあります。ひとつは、自分で決めたほうがその後の推進力が強くなること。もうひとつは、代わりに決めてしまうと、外部が抜けた後に自分で舵を取れなくなることです。
正直なところ、意見を飲み込むのはこちらにもストレスがあります。「絶対にこちらのほうがいい」と思う場面もある。それでも最後は「どうしますか」と返します。決めるところまで引き受けるコンサルタントもいて、それで前に進む会社もあります。速さを重視するならその形が合う場面もあるので、どちらが正しいという話ではありません。ただ、自社がどちらを望んでいるのかは、契約前にはっきりさせておいたほうがいい点です。
なお、どの形を選んでも、外部から出てきたものが社内で動かなければ成果になりません。受け入れ側に何を用意しておくかは、顧問・コンサルの成果が出ないとき、何が起きているのかで詳しく整理しています。
035形態の比較表
関与の深さと契約の考え方で並べます。◎○△×は優劣ではなく、その形態が担うかどうかを表しています。
| 形態 | 何に払うか | 関与の深さ | 助言 | 実務 | 社内調整 | 立ち上がり | 向いている状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 経営顧問 | 時間(月1回程度) | 浅い | ◎ | × | × | 速い | 判断の相談相手がほしい。実行は自社で回せる |
| 社外CxO | 時間(週・月の稼働) | 中〜深い | ◎ | ○(領域内) | ○(領域内) | 中 | 財務・技術など特定機能の責任者が空いている |
| 経営コンサルタント | 成果物 | 中(期間限定) | ◎ | △(契約次第) | × | 中 | 現状分析や計画づくりを、期間を区切って進めたい |
| 業務委託 | 業務の範囲 | 浅い(範囲内は深い) | × | ◎ | × | 速い | 任せたい業務がはっきり切り出せている |
| No.3代行 | 役割 | 深い | ◎ | ◎ | ◎ | 中 | 推進役そのものが空いていて、実行まで進まない |
表の読み方として、注意点が2つあります。
ひとつは、関与が深いほど良いわけではないことです。判断材料だけがほしい会社が、深く関わる形を選ぶと、費用も社内の手間も過剰になります。相談相手が必要なだけなら顧問が最も軽く済みます。
もうひとつは、同じ形態でも会社によって中身が違うことです。表は一般的な傾向であって、個別の契約はこの通りとは限りません。01で挙げた3点(稼働・決裁範囲・実務の有無)を必ず個別に確認してください。
04選ぶ順番:形態から選ぶと合わなくなる
比較表を見た後にやりがちなのが、「では社外CxOにしよう」と形態から入ることです。この順番だと、選んだ形に自社の課題を合わせにいくことになります。
three.Tは「AI顧問」という名前を使っていません。ここ数年でその肩書きを掲げる人が増え、実際に良い仕事をされている方も周りにいます。増えること自体は良いことだと思っています。それでも名乗らないのは、目的がAIを使うことではないからです。目的は会社の課題を解決することで、AIはそのための道具のひとつでしかない。仮に「AI顧問」を看板にしていたら、「ChatGPTを入れたい」と相談が来たときに、まず入れる方向で考えてしまいます。実際には既存のサービスで足りることもあれば、紙とペンのほうが速いこともある。道具の名前を先に決めると、合わない場面でも無理に使うことになります。これは頼む側にも同じことが起きます。
順番は「欠けているもの」から
先に決めるのは、自社に何が欠けているかのほうです。
判断材料が足りないのか。特定領域の専門性が足りないのか。手を動かす人が足りないのか。決めたことを現場まで運ぶ人が足りないのか。この4つは全部「人が足りない」に見えますが、必要な形が違います。判断材料なら顧問、専門性なら社外CxO、手を動かす人なら業務委託、運ぶ人ならNo.3代行に近くなります。
何が欠けているかは、場所によって変わります。ウエツが複業を続けていて毎回感じるのは、同じスキルでも持っていく先で価値がまるで変わることです。業務効率化の知識はIT企業に持っていけば埋もれますが、アナログ中心の製造業に持っていくと、それだけで重宝されます。逆に、ある会社で当たり前すぎて誰も気に留めなかったことが、別の会社では「ちょうど欲しかったもの」になる。外部人材を評価するときの基準は、その人が強いかどうかではなく、自社の欠けているところに合うかどうかです。強いことと、自社に必要とされることは別の話になります。
社内で人を育てるという選択肢を含めた整理は、中小企業の「経営参謀」の見つけ方にまとめています。この記事が契約形態の話であるのに対し、あちらは人をどう確保するかの話です。
05それぞれが向かないケース
どの形にも合わない場面があります。自社を当てはめてみてください。
経営顧問が向かないのは、実行する人が社内にいない場合です。助言は増えますが、それを形にする手が空いていないと、話を聞いて終わる状態が続きます。この形は、実行できる体制がある会社で最も効きます。
社外CxOが向かないのは、課題が特定の機能に収まっていない場合です。財務も採用も営業も同時に詰まっているとき、社外CFOを置いても財務以外は動きません。逆に、財務だけが明確な課題であれば、この形が最短になります。
経営コンサルタントが向かないのは、何が課題かは分かっていて、あとは進めるだけという場合です。調査と分析にあらためて時間と費用をかける必要が薄くなります。一方、現状が整理できていない段階では、この形が最も速く全体像を作れます。
業務委託が向かないのは、任せたい業務を言葉で切り出せない場合です。「なんとなく全部忙しい」の状態では、発注の範囲が決まりません。この形は、切り出せた瞬間から強い選択肢になります。
No.3代行が向かないのは、大きく3つです。ひとつは、社内の情報を外部に開くことに抵抗がある場合。関与が深いぶん、業務や数字を共有しないと機能しません。ふたつめは、決めるところまで代わりにやってほしい場合。02で書いたとおり、決定は経営者に返す形をとっています。3つめは、特定領域の高度な専門性そのものを求めている場合です。財務の高度な設計や、専門技術の判断は、その領域の専門家に頼んだほうが確実です。
併用は普通にできる
この5つは排他ではありません。税理士に顧問として入ってもらいながら、経理の実務を業務委託に出し、全体の推進はNo.3代行が担う。そういう組み合わせは珍しくありません。むしろ、ひとつの形にすべてを求めると、どこかで無理が出ます。
どの形が合うかから、一緒に決める。
three.TのNo.3代行は、社長(No.1)・幹部(No.2)に次ぐ3番目の推進役として社内に入り、提案から実行、社内調整、仕組み化までを担います。ただ、話をうかがった結果「それは業務委託で足ります」「その領域は専門家のほうが確実です」とお伝えすることもあります。いま何が欠けているのかを整理するところから始めて構いません。まずは60分、状況をお聞かせください。初回相談は無料です。
06よくある質問
経営顧問と経営コンサルタントは、何が違いますか?
料金が何に対して発生しているかが違います。顧問は月何回といった時間に対して払う形で、期間の区切りがなく続くことが多い。コンサルタントは成果物に対して払う形で、期間とテーマを区切って契約するのが一般的です。相談相手を継続的に置きたいなら顧問、現状分析や計画づくりを期間を決めて進めたいならコンサルタントが近くなります。
社外CxOと顧問は、どちらが自社に合いますか?
課題が特定の機能に収まっているかどうかで分かれます。財務、技術、マーケティングのように領域がはっきりしていて、その責任者の席が空いているなら社外CxOです。領域を問わず判断の相談相手がほしいだけなら顧問のほうが軽く済みます。稼働の約束がある分、社外CxOのほうが費用も関与も大きくなるのが一般的です。
業務委託と顧問は、どちらで頼むべきですか?
任せたい業務を言葉で切り出せるかどうかで決めてください。「毎月の請求書発行」のように範囲が書けるなら業務委託です。範囲が書けず、何をどうすべきかの相談から始めたいなら顧問になります。切り出せないまま業務委託で契約すると、範囲外の対応で揉めやすくなります。
No.3代行は、コンサルタントとどう違うのですか?
払う対象が違います。コンサルタントは成果物に対して払う形で、提案までを担うのが基本です。No.3代行は推進役という役割に対して払う形で、提案の後の実行、社内調整、社内で回る仕組みづくりまでを一体で担います。どちらが優れているという話ではなく、現状の整理が必要な段階ならコンサルタント、整理はできていて進める人がいない段階ならNo.3代行が合います。
複数の形態を同時に使ってもいいですか?
問題ありません。税理士に顧問として入ってもらいながら、経理実務を業務委託に出し、全体の推進を別の形で担う、という組み合わせは実際によくあります。注意点は、それぞれの担当範囲が重ならないように整理しておくことと、社内側の窓口を決めておくことです。ここが曖昧だと、同じ話を複数の相手に繰り返すことになります。
契約前に、必ず確認しておくべきことは何ですか?
3つあります。月または週にどれくらいの稼働があるか。どこまでを相手が決めてよく、どこからが自社の決裁か。実務を相手が手を動かすのか、助言までなのか。この3点は、呼び方が顧問でも社外CxOでも必ず聞いてください。名前が同じでも中身は会社ごとに違うため、ここを揃えないと後から認識がずれます。