COLUMN — EXTERNAL TALENT

顧問・コンサルの成果が出ないとき、何が起きているのか外部人材が動く会社と動かない会社を分ける、受け入れ側の5つの設計

著者:上津原 研介(three.T合同会社 代表)

「顧問を入れたのに、会社が変わらない」。そう感じているとき、原因が外部の人の能力にあるケースはあまり多くありません。成果が出るかどうかは、受け入れる側にどんな仕組みが用意されているかで大きく変わります。three.Tは10社でNo.3(社長・幹部に次ぐ3番目の推進役)として社内に入っていますが、動く会社と動かない会社の差は、窓口・決裁・当事者・頻度・受け取り先という5つの点に集約されます。この記事では、その5つと、契約を見直す前に自社で確認できるチェックリストを整理します。

外部人材 提案を出す × 受け取る経路がないと、提案は宙に浮いたまま 受け入れ側の5つの設計 1 窓口 2 決裁 3 当事者 4 頻度 5 受け取り先

01「入れたのに動かない」はなぜ起きるのか

外部人材の活用とは、社外の人に自社の業務や意思決定の一部を担ってもらうことです。顧問、コンサルタント、業務委託、社外CxO。呼び方は違っても、その仕事が社内のどこかに着地しないと成果にならない点は同じです。止まる会社では、着地させる経路が用意されないまま契約が始まっています。外部の人は提案を出す。社長は受け取る。しかし受け取った後に誰が動くかは決まっていない。

外部人材 提案を出す 窓口 受け取り社内に配る 決裁 やるかどうか決める 現場 実際に動いて成果になる × ここが切れていると止まる 経路のどこか1か所でも切れていれば、提案は成果にならない
図1:外部人材の提案は「窓口 → 決裁 → 現場」の経路を通って初めて成果になる。どこか1か所が切れていると止まる。

誰かが手を抜いたわけではない

止まっている会社では、外部の人が怠けているわけでも、社長がやる気を失っているわけでもありません。双方とも真面目に動いています。それでも進まないのは、「外部が出したものを、社内の誰が、いつ、どう処理するか」が決められていないからです。役割分担の抜けであって、能力や姿勢の問題ではありません。

外部人材について書かれた記事の多くは、人材を紹介する立場の会社が作っています。内容は「どう選ぶか」に集中し、契約が始まった後まで踏み込んだものは多くありません。

外に頼ること自体は、珍しい判断ではない

2023年版の中小企業白書は、「社内において経営者に続くナンバー2の立場にあり、会社経営を行う上での悩み事が相談できる等、経営者が厚い信頼を寄せる人材」を「右腕人材」と定義しています。直近10年間で右腕人材が「いた」と回答した企業は6割以上。その経歴を見ると、内部で育成した右腕人材が約7割、外部から確保した右腕人材が約3割でした(出典: 2023年版中小企業白書 第2部第1章第3節)。

右腕がいる会社の3割ほどが、その人を外から迎えているということです。顧問やコンサルタントとの契約も、この流れの中にあります。外部に頼ろうと決めたこと自体は、間違っていません。判断としてはむしろ一般的な部類に入ります。問われるのは、入れた後にその人をどこに置き、社内の誰と組ませるかのほうです。

もうひとつ、この定義には続きがあります。白書が輪郭を描いているのは、経営者が相談できる相手、つまりNo.2の位置です。相談相手がいることと、決まったことが現場まで届くことは別の話になります。three.TがNo.3という言い方をしているのは、この「届ける側」の役が空いたままの会社を何度も見てきたからです。助言は増えているのに動かない、という状態は、たいていここで起きています。

02動かなかった会社に共通する5つのこと

three.Tが関わってきた中で、成果が出るまでに時間がかかった、あるいは止まったケースには、次の5つのどれかが当てはまりました。ひとつだけのこともあれば、複数が重なることもあります。

1 窓口が社長ひとりしかいない 2 決めることが、その場で決まらない 3 社内に当事者がひとりもいない 4 会う頻度が月1回で止まっている 5 出てきたものの受け取り先がない
図2:外部人材の成果が止まった会社に共通していた5つの点。

1. 窓口が社長ひとりしかいない

外部との接点が社長だけだと、社長の予定が埋まった週は何も進まない週になります。中小企業の社長は現場も見ています。急な受注対応や来客が入れば、外部との打ち合わせは後ろに回る。社長のほかにもう1人、窓口を置けるかどうかで進み方が変わります。

three.Tがいくつかの会社で実際に引き受けているのが、この窓口の役です。たとえば外部の制作会社とのやり取り。社長が毎回打ち合わせに出ていると、それだけで時間が消えていきます。かといって社内の事情を知らない相手に任せきりにすると、上がってきたものを見て「これはうちのイメージと違う」となる。間に入って「ここまでまとめました、この方向でいかがでしょうか」と持っていける人がひとりいると、社長が出る回数は減り、方向のずれも減ります。必要なのは専門知識ではなく、会社のことを分かっていて外部とも話せる、という組み合わせです。

2. 決めることが、その場で決まらない

論点が出ても「持ち帰って検討します」で終わる状態が続くと、次の回で同じ話をもう一度することになります。1回90分の打ち合わせのうち60分が前回の振り返りに使われるなら、実質的には進んでいません。決裁が下りない理由が金額なのか、判断材料が足りないのか、決める人がその場にいないのか。分けて見ると詰まっている箇所がはっきりします。

3. 社内に当事者がひとりもいない

外部の人がひとりで作業する形は、社内の手が取られないぶん効率的に見えます。ただしこの形だと、契約が終わった時点でやり方も判断基準も社内に残りません。一緒に手を動かす社員がひとりもいない場合、成果物は残っても、次に同じことをやる力は残りません。専任である必要はなく、週に数時間でも関わる人がいるかが分かれ目です。

あるクライアントでは、社長が前向きな方で、良いと思ったツールをどんどん導入していました。ただ現場には後ろ向きな人もいて、契約だけが残って使われない状態が続きます。社長から見れば「用意したのに使わない」、現場から見れば「上が決めたものを渡された」。どちらも悪くありません。効いたのは、導入を一緒に進める人を社内からひとり巻き込むことでした。その人が自分の言葉で「これがあると、あの作業が減る」と話し始めると、周りの受け取り方が変わります。最終的にその人が「自分が入れた」と言い出すくらいでちょうどよくて、外部の手柄にする必要はありません。

4. 会う頻度が月1回で止まっている

月1回は、相談としては成り立ちますが、何かを進める体制としては間隔が空きすぎます。前回から30日経てば現場の状況は変わり、話した前提が古くなって確認だけで時間が終わります。2週に1回にすると宿題から次の打ち合わせまでが短くなり、放置されにくくなる。頻度は関与量ではなく、忘れられない間隔かどうかで決めるものです。

社員10人ほどの製造業で、ヒアリングをしたうえでホームページの作り直しを提案したことがあります。写真や動画の素材を撮るところまでは一緒にやりました。次に伺ったのは、その1年後です。状況はほとんど変わっていませんでした。誰かが手を抜いたわけではありません。既存の取引先とのやり取りで仕事は回っていたので、緊急ではなかった。それだけです。頭ではやったほうがいいと分かっていることほど、間隔が空くと後ろに回り続けます。間隔を詰める目的は、監視ではなく、後回しにできる余白を作らないことです。

5. 出てきたものの受け取り先がない

計画書や分析資料が出てきても、どの会議で扱い誰が現場に落とすかが決まっていなければ、資料は保管されて終わります。受け取り先とは、成果物を扱う定例の場と、決まったことを現場に持っていく人の2つです。この2つがあれば資料は動きます。なければ、どれだけ良い資料でも動きません。

外部から出てきたものに限った話ではありません。社内で作られたエクセルやパワーポイントが、気づけば担当者のパソコンの中だけにある、という状態はよく見かけます。会社の資産のはずなのに、その人が休んだ日には誰も中身が分からない。業務改善に入るとき、three.Tがまず共有の置き場所を作りにいくのはこのためです。外部が出した資料も、扱う場と運ぶ人が決まっていなければ、同じところに収まります。

03受け入れ側チェックリスト

契約内容を見直す前に、自社側の状態を確認してみてください。次の8項目のうち、いくつ「はい」と答えられるかで、受け入れの準備がどこまでできているかが分かります。

  • 外部との窓口が、社長以外にもう1人いる
  • その窓口が、日程調整と資料のやり取りを自分で判断して進められる
  • 外部の提案に対して、金額を含めて誰が決裁するかが決まっている
  • 打ち合わせの場に、決裁する人が同席している
  • 外部と一緒に手を動かす社員が、少なくとも1人いる
  • その社員が、通常業務の中で週数時間を使う許可を得ている
  • 打ち合わせが2週に1回以上の頻度で設定されている
  • 出てきた成果物を扱う定例の会議と、現場へ持っていく担当が決まっている

6個以上に「はい」と答えられるなら、受け入れ側の準備はできています。その状態で成果が出ていないなら、依頼している内容と外部の人の得意分野が合っていない可能性があるため、テーマの見直しや相手の変更を検討する余地があります。

「はい」が3〜5個なら、自社側を整える方が先です。契約を切っても、次に別の人を入れたときに同じことが起きます。特に窓口と当事者の2項目は、他のどれよりも効きます。

「はい」が2個以下なら、いま誰と契約しても結果は変わりません。必要なのは相手を探すことではなく、外部が出したものを社内で動かす経路を作ることです。

04契約を見直す前に試せる、3つの立て直し

チェックリストで足りない項目が見つかったとき、契約をそのままにして試せることがあります。追加の費用はかかりません。1か月あれば、変化があるかどうかは判断できます。

STEP 1窓口をもう1人
STEP 2決めることを3つに
STEP 3頻度を2週に1回
図3:契約をそのままにして1か月試せる、3つの立て直し。
STEP 1

窓口を社長以外にもう1人置く

役職は問いません。日程を押さえ、資料を受け取り、社内に配る。この3つができれば十分です。迷ったら、社内で一番連絡が早い人を選ぶのが現実的です。

STEP 2

次の1か月で決めることを、3つに絞って書き出す

打ち合わせで扱う論点が多すぎると、どれも決まりません。「今月中に決めること」を3つだけ書き、冒頭でその3つを確認します。決まったものは消し、決まらなかったものは理由を残す。理由が「情報が足りない」なのか「金額の判断がつかない」なのかで、次にやることが変わります。

STEP 3

頻度を2週に1回にし、宿題の締切を打ち合わせの前日に置く

間隔を半分にすると、宿題が放置されにくくなります。あわせて社内側の宿題の締切を、当日ではなく前日に設定してください。当日締切だと、その場で「まだできていません」となって1回分が流れます。

この3つを1か月続けても進まない場合は、依頼内容と相手の組み合わせを見直す段階です。自社側を整えてから相手を判断する順番にすると、次の契約で同じことを繰り返さずに済みます。

05受け皿を社内に作れないときの選択肢

「窓口も当事者も出せる人がいない」という会社もあります。社員10〜100名の規模では、通常業務で全員の手が埋まっていることが珍しくありません。その状況で無理に担当を決めても、繁忙期に止まります。

three.TのNo.3代行は、この受け皿の側に入るサービスです。社長(No.1)、幹部(No.2)に次ぐ3番目の推進役として社内に入り、提案から実行、社内調整、定着までを一体で担います。窓口を作り、決めることを絞り、現場に落とすところまでを内側から動かす形です。

支援はTALK(60分の無料相談)、DESIGN(何から手をつけるかを決める)、MOVE(一緒に実行する)、SYSTEMIZE(社内で回る形にする)の順で進みます。SYSTEMIZEまで到達すれば、外部の関与を減らしても回る状態になります。関与を増やし続けることが目的ではありません。

「入れたのに動かない」を、受け入れ側から立て直す。

three.TのNo.3代行は、社外の助言を受け取る側ではなく、社内で動かす側に立ちます。窓口の設計、決めることの整理、現場への落とし込み、そして社内で回る仕組みづくりまで。いま契約している顧問やコンサルをそのまま活かす形での立て直しも可能です。まずは60分、いま止まっていることをお聞かせください。初回相談は無料です。

06よくある質問

顧問と契約して半年経ちますが、成果が出ません。契約を切るべきですか?

切る前に、自社側の受け入れ状態を確認することをおすすめします。窓口が社長ひとりだけ、一緒に手を動かす社員がいない、打ち合わせが月1回。このいずれかに当てはまる場合、相手を変えても同じ結果になりやすいためです。まず窓口をもう1人置き、頻度を2週に1回にして1か月試してください。それでも動かないなら、依頼内容と相手の得意分野が合っていない可能性を検討する段階です。

動かないのは、外部の人の力不足ではないのですか?

力不足が原因のこともありますが、それだけで判断すると次も同じことが起きます。外部の人の仕事は、社内の誰かが受け取って初めて成果になるためです。受け取る経路がない状態では、能力の高い人が入っても結果は変わりません。相手を評価する前に、提案が社内のどこで止まっているかを確認してください。

窓口を社長以外にしたいのですが、任せられる社員がいません。

窓口に必要なのは、経営判断ではなく連絡と共有です。日程を押さえる、資料を受け取る、社内に配る。この3つができれば足ります。役職や経験は問いません。社内で一番連絡が早い人を指名するのが、現実的な選び方です。

打ち合わせの頻度は、どれくらいが適切ですか?

何かを進めている期間は、2週に1回を目安にしてください。月1回だと前回から30日空き、現場の状況が変わって確認だけで時間が終わります。状況が落ち着いて運用に入った後は、月1回に戻して構いません。頻度は費用ではなく、宿題が忘れられない間隔かどうかで決めるものです。

顧問料を払っているのに、こちらの手間が増えるのは違うのではないですか?

最初の数か月は手間が増えるのが普通です。外部の人は自社の業務も社内の事情も知らない状態から始まるため、情報を渡す作業が必要になります。この期間を省くと一般論の提案しか出てこなくなり、結果として成果が遠のきます。手間が減るのは、外部が自社を理解した後の段階です。

受け入れ体制を整えてから、外部を入れるべきですか?

完璧に整えてからでなくて構いません。必要なのは、窓口を1人決めることと、一緒に手を動かす社員を1人決めることの2つだけです。この2つが決まっていれば、残りは動かしながら整えられます。整うのを待っていると、いつまでも始まらないという別の問題が起きます。

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